パンストの構造は腰のウエストテープを始めとして、つま先のトウに至るまで、各部位が分割されています。脚の大部分を覆うレッグ部は、鼠径部からつま先に掛けて、最も広い面積を覆っているのが特徴です。
本体部分といっても過言ではありませんから、重要性が高いのはいうまでもなく、全体の質感や印象を左右することになります。
目次
現代のパンストはより実用的で頼りになるアイテム
ストッキング的に、脚を保護したり美しく見せるのが目的ですから、作りや品質の善し悪しが重要です。近年は、むくみを解消したり防ぐ目的で、脚を締めつける作りになっている製品が少なくないです。
太ももとふくらはぎと足首に部位を分割することで、それぞれ締めつけの強さを微妙に変えているのがポイントです。脚を美しく見せつつ、むくみを解消する機能を併せ持っていますから、現代のパンストはより実用的で頼りになるアイテムです。
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トウやヒール部分の生地の特徴
つま先のトウやかかとのヒール部分は、他より生地が厚めに作られていることが殆どです。理由は爪が引っ掛かったり摩擦が生じやすく、薄手に作ると簡単に伝線が発生して穴が開く可能性があるからです。
薄手の生地で脚が透けて見えるのが魅力ですが、つま先もかかとも靴を履けば見えませんから、改めて合理的な作りだといえるでしょう。
ちなみに、爪先部分については補強のないタイプもあって、こちらはペディキュアを見せたい場合に最適です。補強ありは補強トウ、補強なしはヌードトウといったりします。
センターシームやランガードの役割
パンストで腰から股の部分に掛けて縦に入るラインは、センターシームといいます。これは左右に分割されている境目の部分で、ただ単に縫い目がラインに現れているものです。しかし、設計次第ではセンターシームを不要にできるので、シームレスタイプも存在します。
スタンダードな設計だと、鼠径部にあたる部分にランガードと呼ばれる補強が行われます。ランガードは伝線の発生を抑えたり、拡大を抑える役割を持つもので、パンティー部とレッグ部の境目に位置します。
ウエストテープはゴム入りで、腰にフィットする形ですから、多くの製品で採用されています。
ランガードを排除して、センターシームと限られた縫い代で構成されているタイプは、オールスルーと呼ばれます。オールスルーはパンティー部とレッグ部の切り替えがないので、ミニスカートの着用に適しているといわれます。
マチつきのタイプの特徴
マチつきのタイプは、股の部分にダイヤマチという部位が追加されています。ダイヤマチの名前は形状から来ており、股下の位置がズレないように用いられている機能的なタイプです。
マチがつくと強度が高まる上にフィット感がアップするので、アクティブに動く人やふくよかな人向きです。ゆったり履ける着用感が楽しめますから、スタンダードやオールスルーに物足りなさを覚える人に朗報です。
30デニールを境にパンストとタイツの名称が変わる
パンストの本体でレッグ部分にあたる部位には、デニールという意図の太さの表現が用いられます。薄手の生地はデニール数が少なく、厚手になるほど数字が増えていきます。30デニールを境にパンストとタイツの名称が変わるので、両者の違いはこの数字と生地の厚みにあるといえます。
余談ですが、足首から下が露出しているタイプをスパッツ、更に土踏まずに引っ掛ける部位を持つものはトレンカです。鼠径部から上がなく、脚とつま先までを覆う作りのものはストッキングです。いずれも靴下とその発展型に分類されますが、作りの似ている部分が多いので混同しがちです。
パンストはウエストから下を全て覆い、生地は薄手で各部に補強が加えられている傾向です。誕生から半世紀以上の歴史を持ちますし、長い時間を掛けて改良に改良が重ねられ、今では一番の欠点だった伝線が大幅に改善されています。
パンストの部位の名称と役割を確認
改めて部位の名称と役割を確認すると、ウエスト部はゴム入りでフィット感を目的に、パンティー部はパンティーにあたる部分でお腹やお尻をカバーする目的です。縦に入るラインは左右に分割するセンターシームで、脚のつけ根には補強と伝線の拡大防止を兼ねるランガードが加えられます。
レッグ部は脚を覆って美しく見せたり、逆に素足を隠す目的で用いられています。この部分がないとただのパンティーですから、存在意義そのものといっても言い過ぎではないでしょう。
つま先はそのままトウ部で、かかとのヒール部と共に補強を目的に生地が厚めに作られます。土踏まずのアーチ部分はストレートにフットで、ここは特に補強はないです。
特徴的な股部分のダイヤマチは、標準的に用いられているものではないので、大半の製品では省略されます。ただ、フィット感や着用感がかなり改善されるので、比較的上の価格帯では割と幅広く採用済みです。
まとめ
シンプルな構造に見える衣類でも、詳しくチェックすると実は細部まで良く考えられていることが分かります。薄手でも安定した品質で製造できるのは、長年掛けて続けられてきた改良のお陰です。各部の補強も、問題の発生と解決の繰り返しの賜物ですから、とても合理的で完成度が高まる結果に至っています。